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不器用 





私・はどうしようもないくらい不器用です。
お料理をすれば黒炭になるまで炒めたりするし、包丁を使えば手を切りそうになるし。
お裁縫なんかは特に苦手で、指に針を刺してしまうことなんて日常茶飯事。
器用な人が心底うらやましくて…。


そんな私にも、好きな人がいます。
同じクラスの宍戸亮くん。
選手層の厚い氷帝テニス部において正レギュラーの座を守っているすごい人です。
教室の一番後ろから、授業中の宍戸君をそっと見たり。
放課後のテニスコートを見下ろせる教室で、一人居残って頑張っている宍戸君を見ているから、
友達からは「宍戸くんが好きなんでしょ?」とよく言われます。
でも、私は自分に自信がないから、告白なんてできない…。


ある日の放課後、席に座って友達と話していると、宍戸くんが話し掛けてきてくれたのです。
「え…あ…な、何?」
、あたし達帰るね。ばいばい」
「え、待ってよ!一緒に帰るって…!」
友達が行ってしまうと、教室には私と宍戸くんの二人だけになりました。
「お前さ、俺の事見てるだろ」
「!」
気づいてたの…?!
「授業中とか、部活中とか、よく視線感じるんだよな。お前のさ」
「ご、ごめん…!」
何を言っていいかわからなくて、顔が真っ赤になって俯いてしまう。
「別に謝る事ないだろ。その…俺、お前に見られるの、嫌いじゃねぇし」
「え…?」
宍戸くんの声に反応して、思わず顔を上げる。
『お前に見られるの、嫌いじゃない』―――。
確かに今、宍戸くんそう言ったよね???
「コートのまわりでギャーギャー言ってる女はあんまり好きじゃねぇんだよ。気が散ってさ…。
でもお前、ここの窓からいつも見てるだろ?ここさ、長太郎とダブルス組んで前衛になって顔上げた時、ちょうど目に入るんだ。
だから、お前がずっと見てるの、知ってるんだぜ」
「ご、ごめんね?宍戸くん、すごく楽しそうにテニスしてるから、気になって…!」
「それだけかよ?」
「え…えと…あのっ…!」
声にしたい言葉が、のど元まで出かかってるのに。
「こ、これ!!!」
がさがさとカバンの中から取り出したのは、ずっと宍戸くんに渡したかったスポーツタオル。
「あの、宍戸くんも知ってると思うけど、私すごい不器用だから…。
でも、頑張って宍戸くんの名前、刺繍したの。
すごい不恰好だけど…使ってくれたら嬉しいなって…」
宍戸くんの好きな紫色で『RYOU SHISHIDO』って。
おかげで指がバンソウコウだらけになってしまったけど、これが精一杯だから。
「…マジで不恰好だな。でも、頑張ったじゃねぇか」
「うん…」
「サンキュ、使わせてもらうぜ」
そう言って宍戸くんはタオルを広げてみせた。

と、カサっとおとを立てて紙が落ちた。
慌てて拾おうとすると、宍戸くんが先に拾ってしまった。
「!返して…!」
「…これ、お前の字だよな?」
顔を真っ赤にしながら、宍戸くんが私に聞いてくる。
私がこくりと小さく頷くと、宍戸くんは余計に顔を赤くした。
そして持っていたシャープペンで何かを書き込むと、私に突っ返してきた。
「じゃあな!」
そう言って走って行ってしまった宍戸くんの後ろ姿を見送ってから、私は震える手でさっきの紙を開いた。
「…っ!!!」
私の字で『ずっと好きでした』と書かれた紙。
その下には男の子らしい大きな字で『俺も』と書いてあった。

恋愛に不器用な二人の、精一杯の表現方法。





あとがき
  しづき れい(名前変換されてしまうのでひらがなで…)様のサイト『トラジェディ ドラッグ』との相互記念に書かせていただいた代物です。
  ヒロインちゃんの名前をしづき様のお名前にしてしまいました。
  お許しください(笑
  「不器用な宍戸くんを」と言うリクエストにちゃんと添えているか疑問なんですが、もらってやってくださいませ。





■■■

相互祝いに二つも頂いてしまいました…><
最初は宍戸さんだけお願いしてたんですが、まさか二つとも書いてくださるなんて、申し訳ないというか有難いというか…
私も早くお礼をせねば…って感じです><*
不器用な宍戸素敵ですvvv
私も宍戸さん描きたくなって来ました、わぁい(笑
珂音さん有難う御座いました〜^▽^






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