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勝ち負けの世界





「いい加減にしなさい、ばか景吾!」
「俺が誰と付き合おうがてめぇには関係ねぇだろ」
ランチタイム、クラスメートの前での大喧嘩。
いつもと違うのはちょっとヒートアップしている点で。
その理由は今回景吾に振られたのがあたしの友達だからだったりする。
「『つまらねぇからいらねぇ』って何よ!あんた何様のつもり?!」
「俺様に決まってんだろ、あーん?」
「意味わかんないわよ、このジコチュー男!ほんとあんたってむかつくわ!」
「てめぇこそ分けわかんねぇよ、ばぁか」
女を振っても顔色ひとつ変えないところがあたしは嫌い。
女の方にしてみればやっと好きな人と付き合えたと思ったらひどい言葉ひとつで捨てられるんだから、たまったもんじゃない。
それなのに景吾は反省の色なんて微塵もない。
「そういうところがいいんじゃない」なんていう友達の気が知れない。
とにかくあたしはそんなわけで、景吾のジコチューさが嫌いだった。


「もう中3なんだからその女癖の悪さをどうにかしなさいよ、苦労するわよ」
「…てめぇが俺の出す条件を飲んだら直してやるぜ」
「何よ?」
「俺と付き合え」
…………………………………………………………は?
『俺と付き合え』?
昨日女を捨てた男が言う言葉?
少しは反省とかするもんじゃないの?

次の瞬間、あたしは景吾に背を向けて歩き出した。
「おい、どこ行きやがる?話はまだ終わってねぇだろ」
そう言って景吾が肩を掴もうとした手を、あたしは払いのけた。
「汚い手で触らないで」
「…何だと?」
景吾の綺な顔が、少し赤くなる。
「あんたの事、見損なったわ。もう少し良心の有るやつだと思ってたけど、見込み違いだったみたいね。
あんたの幼なじみでいなきゃいけない事を心の底から後悔するわ」
次の瞬間、ぱぁん、と言う派手な音とともに頬に痛みが走った。
景吾に、ひっぱたかれたから。
「てめぇ俺様にどういう口利いたかわかってんだろうな」
「えぇ」
「謝れ」
「嫌よ」
景吾のこぶしが、怒りでぶるぶると震えている。
あたしは景吾に殴られるかもしれないのに、不思議と落ち着いていた。
「殴られてぇのか」
「殴れば?そうしたら笑ってあげるわ、『人の痛みがわからないかわいそうな人ね』って。
あたし、景吾が好きよ。でも、人を傷つけても平気そうな顔をしてる景吾は嫌い。
本当は痛いのに、強がってる景吾が嫌い。
あたしに怒りをぶつける事でしかその痛みを発散できないなら、そうすればいい。
だから…」
心が、痛い。
景吾の事好きなくせに、こんな事でしか思いを伝えられない自分が嫌い。
「お願いだから…よく考えて…。
女の子にだって、心はあるの。景吾にだって、あるでしょう?
好きな人に捨てられたら、心が痛いよ。
あたしだって大好きな景吾に叩かれて、心が痛かったもの…」
…」
「景吾が大好きなの。ちっちゃい頃からずっと…。
そばにいられるなら、それで良かった。
だけど、人を傷つけて自分も傷ついてる景吾を見てるのは、もう我慢できないよ…!」
ぼろぼろと零れ落ちてくる涙をクラスメートに、誰よりも景吾に見られたくなくて、あたしは教室を飛び出して屋上に向かった。


空は、真っ青だった。
あたしは屋上に着くと、崩れ落ちるように泣いた。
声を、殺して。
景吾はすぐ追いかけてきたけれど、あたしが屋上に出る扉を閉めてしまったので扉の前で叫んでいた。
「てめぇ、、開けろ!」
「やだぁっ!!!」
「一人で泣いてんじゃねぇ!」
「泣かせたのは誰よ…っ!」
そこらへんにあった机や椅子で扉を開かないようにしてあたしは扉から遠ざかった。
でも景吾はすぐにそれを蹴り倒してあたしの方にやってきた。
「来るなばかぁ!」
「うるせぇよ」
ぎゅっと抱きしめられて、せっかく締まりかけていた涙腺がまた緩む。
「一人で泣くんじゃねぇ。泣くなら俺の腕の中で泣け」
「ばか景吾…」
「ずっとお前が好きだったんだ。不意に笑う笑顔も、友達のために怒る顔も、俺のために泣く顔も全部好きだ」
耳元で、景吾の低い声が囁く。
、俺の負けだ…」


それから景吾は少しだけ女遊びを控えるようになったとかならないとか。




あとがき
  しづき れい(漢字だと変換されてしまうのでひらがなで…)様のサイト『トラジェディ ドラッグ』との相互リンク記念に書かせていただいた小説です。
  ちょろっと「跡部さん」とおっしゃっていたのを盗み聞きし(待て)書いてみました。
  書いてる途中に「もしかしたらこれは悲恋に…?!」とか思ったりしたのは秘密の方向で(笑
  しづき様、こんなのでよろしければもらってやってくださいーw






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珂音さんに相互記念としていただきました^^*
跡部さまーん♪まさか自分の名前で変換されてるなんて思いもしなかったので、
ぶっちゃけかなり恥ずかしかったです…!!(笑
なので、我が家のヒロインちゃんの名前を入れて読みました…
ぐっじょぶ馬鹿景吾!!(笑







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